小さな島の大きな問題

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下水道浄化センター

下水道浄化センター

1.竹富島唯一のきれいな芝生に寝転がりたい!

 この写真の建物は下水道浄化センターです。民宿のはら荘のすぐ近く。西桟橋へ行く途中の道の傍らにありますので、見かけたことのある方はたくさんいらっしゃると思います。島の中でも一番と言え るくらいの近代的な建物ということもあり、すぐ隣にある変電所の建物と合わせて、近代化とは ちょっと縁の遠いこの島ではとても浮いて見える所です。

 もちろん変電所は電気のために、浄化センターは下水道のために必要なもので、島の人たちの生活にはとても役にたっている施設には違いありませんし、この施設ができたことによって心か ら感謝している人もいるでしょう。ですから、この施設自体に対してとやかく言う気持ちは毛頭ありません。

2.星砂の島の小さくて大きな問題

 しかし、近代化とそれに伴う弊害というのは、いつの時代もどこの地方でも必ずと言っていいほど付いて回るものであり、それはこの島でも決して例外ではありません。都会ではほとんど全 ての地域が近代化されているため、あまり問題にならない、もしくは問題になってもあまり目立たないことがたくさんありますが、離島などの地方では、ほんの些細なことが大きな問題になっ たりします。ここでは、竹富島をめぐるそんな小さな問題、大きな問題などを取り上げていきたいと思います。

 第1回目は、この浄化センターについて考えてみたいなと思います。美しい町並みの島、伝統の島、星砂の島、様々な宣伝文句で飾られるこの島も、普段の生活と いう観点から見てみると、他の地域と同じように様々な問題があるのだということが少しでもご 理解いただけたら幸いです。

3.芝生に寝転がって満天の星を見よう。 

 さて、話を元に戻します。この浄化センター。新しいだけあって、塀の外から見ると、とても美しい建物です。ごらんの通り、夏場にもかかわらず美しい緑の芝生が広がっています。竹富島 でこんなに美しい芝生の広場がある場所は他にはありません。

 お昼寝ポイントでも取り上げましたが、私はこの前を通るたびに、ああ、あそこで寝転がれたらなあといつも思います。もっとも、 夏の炎天下、物陰すらないこの場所で実際に寝転がったりしたら、10分で干上がってしまうでしょうけどね。でも、夜は良さそうじゃないですか。西桟橋もいいですが、この芝生に泡盛持ち 込んで星空が眺められたらどんなにいいことでしょう。

4.昔はバクテリアが助けてくれた。

 でも、それは無理。ここはいつだって門はしめられています。当たり前と言えば当たり前です。しかし、当たり前だと言うなら、どうしてわざわざ誰も使えないのに、また作っても何の 意味もないのに、あんなにきれいな芝生をしいたのでしょうか。単に建物をきれいに見せるため でしょうか。私には詳しい事情も分かりませんし、理解もできません。

 それはともかくとして、ここは浄化センターですから、もちろん下水道処理のために作られた施設です。この島では以前は下水道は自然浸透に任せていました。上水道からの汚水も屎尿も全 て自然にバクテリアによる分解に任せ、地下に浸透させていました。年中気温の高い地方ですの でバクテリアの活動も活発だし、また人口もさほど多くはなく汚水の量も知れているので、自然 浸透はとても合理的な方法です。

5.2階建てのエレベーター

 その島に下水道処理施設という近代的な施設ができました。普通に考えれば、それは良いこと でしょう。今まで、悪く言えば垂れ流していた汚水を化学処理してきれいにして自然に返すわけ ですから。しかし、ちょっと考えてみると、今までだってべつに不自由していたわけじゃないのに、本当にそんなものが必要なの? という小さな疑問が浮かんできます。

 例えて言うなら、2階建ての家の階段を取り外して、代わりにエレベーターを付けるようなも のです。今まで階段があってとくに不自由はしなかったし、家には体の不自由な人もいない。エ レベーターを付ければ確かに上り下りは楽になるけど、電気代がものすごくかかるようになったし、停電のときには上に行けない。設置工事のときも、家の中が汚れたり使えなくて困った等々。

 良い面もあるけど悪い面もあって、差し引きすればプラスマイナスゼロかなあという感じでしょうか。

6.豊かな島の見えない貧しさ

 では、この浄化センターのプラスとマイナスは何でしょうか。

 まずプラス面としては、汚水を 垂れ流さない、もしも人口が増えても下水処理に問題は生じない、近代化施設ができることによ る島民の島への期待感等々でしょうか。ちょっと話がそれますが、人口が増えるということには 、観光客が増えるということも含まれます。観光客は相変わらず多いですが、まさか大きなホテ ルを建設するためのインフラ整備なんてことはないでしょうね。でも考えられないことじゃありません。

 次にマイナス面。建設だけでなく施設維持にも金がかかる、つまり今まで払わなかった 下水道料金というものを各世帯が支払うようになります。それから、下水道管を埋設するために、道を 掘り返したため、道ががたがたになった。島中を大きなトラックが走り回った。なんてとこでし ょうか。

 竹富島はお年寄りの方がたくさん住む島です。経済的には決して豊かであると言える地域では ないと、私は思います。下水道料金なぞ微々たるものですが、それでも余計な出費であることは 間違いありません。

 さて、みなさんはどうお考えでしょうか。私は部外者なので、このような地元に密着した施設 に対して文句を言うつもりはありません。ただ、以上に書いたような様々な問題があるというこ とを多くの方に知っていただきたかっただけです。観光バスで前を通り過ぎてしまえば、おそらく気にも止めないであろう施設ですが、竹富島のような小さな地域社会では、多くの人に様々な 問題を与える可能性があるのだということを理解していただきたかっただけです。

 今後、島を訪れてこの施設を見かけた際は、頭の片隅ででもいいから思い起こしてもらえたらなと思います。 

 (2000/2/27 記)

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