小さな島の大きな問題

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神の宿る白き道

1.竹富島の道路は白くて美しい。 

 今年竹富へ行った方なら、民宿や集落へ行くのに車を使われた際に、おそらくこの道を通ったか見たかしたことでしょう。この道路は今年新しく建設された道路です。

 見てのとおり、片側1車線づつの対面通行の立派な舗装道路です。集落のすぐ外側を周るような感じで、東桟橋へ通じる道路から枝分かれし、おそらく蔵元へ通じる道路まで通すのでしょう。おそらくと言うのは、2000年夏現在、まだ建設中だからで、現在は東桟橋への道路から北岬へ通じる道路を横切ってもう少し先までと、西桟橋への道路から約200メートルくらいしかできていません。

 さてこの道路。何のために作ったかというと、バスや乗用車は出来る限りこの道路を使うようにし、なるべく集落の中に入らないようにするという計画のためです。この計画自体は、かなり昔から提案されていて、車が集落を走り回ると雨上がりの時などに道がガタガタになりやすく、また道が狭いこの島では、お年寄りの方が歩くのに危険だからというのが主な理由です。

 この計画に則って建設された舗装道路。島の景観を著しく壊すような道路でもないし、計画も至極まともなもので何も問題はない・・・ように見えます。ところが、ここにも問題はあるのです。道路建設は今、一時中断しています。さて、どこに問題があるのでしょうか。


 

ご覧の通り工事中。
東桟橋から集落への道路も2車線で立派な道路だけど、こちらはそれ以上。
一応白い舗装道路で、島の景観を保とうとした努力は認めるが、やはり殺風景な感じは否めない。
でも、慣れればそのうち島の風景として馴染んでくるのかもしれない。


2.え?! 話が違うんじゃない?

 この道路建設計画は、行政が立てたものです。もちろん地元の人たちの要望や意見を聞き、また行政側の考えた島の未来という案もあり、そうゆうものを勘案した上で立てられた計画であることは間違いないでしょう。そして道路建設事業計画には予算がつきました。あとは、実際に島の人たちに計画を説明し賛同を得て、土地を買収し、実際の建設となるわけです。

 まず島の執行部の人たち、つまりえらい人たちと話をし、同意を得ます。それから、一般の人たちに話が回ります。この時点で、島のどの部分を道路が通るか、また、二車線の道路であること、途中に駐車場が設けられること、などが説明されました。そして、土地が買い上げられる人にその旨の同意を得て、実際に着工となったわけです。

 ところが、実際に工事が始まったら、計画は説明とは違ったものになっていたのです。もちろんそんなに大きく違うわけではありません。しかし、当初の説明とは少し違う所を道路が通ることになり、またいまだに駐車場は設けられていません。
 ちょっとくらい違ってもいいじゃないかという気もしますが、でも通る場所が違えば、土地の所有者も違ってきます。その人は土地買収に同意していなかったかもしれません。そもそも、これが都会だったら、そんなことは絶対あり得ないでしょう。

 建設途中に予定が変わって道路幅が大きくなったなどはあり得ますが、通る場所が違うなどということがあるでしょうか。道路を作っていたら、こっちの方が良さそうだったので、お宅は立ち退いてくださいなどということがあるでしょうか。そのようないい加減な計画がまかり通ること自体がおかしいことです。この一点をとってみても、行政と住民がきちんと話し合いをしたとは思えないのです。いや、したのかもしれませんが、実際に影響を受ける住民にまで意志の疎通があったとは思えません。

 話が大げさになりますが、石垣の空港問題が今だにもめているのだって、元はと言えば、行政がきちんと住民と話し合いをしなかったことが原因です。いくら良いものができると言っても、公共工事には犠牲になる住民が必ず出てきます。行政は、そうゆう人たちときちんと話をすべきなのです。それを怠るから、後々まで遺恨を残すことになるのです。

 そして、ついでですが、島のことを取り仕切る人たちと、一般の人たちとの間にもきちんとした話し合いが必要です。つまり、会社役員と一般社員との話し合いです。一般社員は基本的には役員の言うことに従わなくてはならないのですから、役員はその影響の大きさを自覚すべきです。
 会社と違って、島では1年365日ずっと顔をつきあわせるわけですから、決してわだかまりを残すべきではありません。


 

旧竹富島一週道路(現在)
以前は、集落から外側の道路は全てこんな感じだった。両脇は木や草が鬱蒼と茂る。
もちろんどちらが良いとか悪いとかいうことではない。
性能面だけで比べるなら、以前の道路は、すぐにでこぼこになり、車も傷みが激しい。
しかも狭い。それに比べて新しい道路は快適だ。  


3.これから新しく訪れる観光客は、何を望むのだろうか? 

 竹富にはもう一つ集落の外側を回る道路として10年ほど前に作られた竹富島一周道路があります。東桟橋から蔵元まで、ほぼ海岸沿いに伝う道路です。

 一周道路という名前が付けられていますが、もうこれ以上建設されることはないでしょう。道路建設中、赤土を大量に海にまき散らしたため、浜近くの珊瑚がだいぶ死んでしまいましたが、今となってはそれも過去の事件になってしまいました。

 この道路はもちろん現在でも使われているのですが、道幅があまり広くなく新しく建設中の道路と比べると使い勝手がよくありません。これから増え続ける観光客のためにも新しい道路はなくてはならないものです。島がこれからも観光業での発展の道を選ぶのなら、島の雰囲気はなるべく壊さないようにして、観光客には快適な環境を与えるべきでしょう。

 さて、この道路、無事に完成できるのでしょうか。地元の人たちにとっても、観光客にとっても道路整備は基本的には歓迎されるべきことですし、道路建設の趣旨も良いことだと思います。地権者の方との話し合いがきちんと済んで、無事に完成してもらいたいと思います。そして、開通の日には、みんなが笑顔で喜ぶことができたらいいと願っています。

東桟橋から来ると、集落の少し手前にある大木。
ツンマセーと呼ばれる。
島の外から悪いものが入ってこないよう島を守る。つまり魔よけ。
 道路建設のために邪魔だからと切り倒されることはなかった。
この精神が島人に宿っている限り、竹富島は楽園であり続けるだろう。

(2000. 9.24 記)

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